バイトを早く切り上げることが出来てありがたいことに帰省後になるかなぁと思ってた『桐島、部活やめるってよ』を観ることが出来た。急遽観ることになったから手元に前売り券がなかったけど、まぁいいやって思って正規の値段払って観た。
観て正解だった。素晴らしい。
実際のところ、出演者に興味があって観ようと思った映画だった。あらかじめ原作を読んで、それなりにメッセージが込められていて良い話だとは思ってたけど、その小説の書き方からして映画はあんまり面白くないんじゃないだろうかって思ってた。
全然そんなことはなかった。
構成は全然違った感じになってるけど、核は全然ぶれてなくて、そこへの持っていきかたは、たぶん小説より映画の方が良いかもしれない。
物語は桐島が部活をやめるっていう話が学校で広まったところから始まる。
彼女、友達、地味な映画部の前田、様々な視点から、桐島のうわさが広まった金曜日の出来事が描かれる。予告で「繰り返される金曜日」なんて出てたから、? っていう感じだったけど、実際のところ、本当に金曜日が繰り返されてた。4回、金曜日が繰り返された。
「相手は吹奏楽部、同じ文化部だから大丈夫だろ」
「あの人たちの前で本当のこと言ってもね」
学校っていうシステムの中にあるヒエラルキーが残酷なまでに、でも活き活きと描き出されてた。
輪の中に溶け込んでおくために本音を隠す。面と向かっては言わなくても、運動部にコンプレックスを感じてる文化部。
「結局、出来るやつは何でも出来るし、出来ないやつは何も出来ないっていうだけの話だろ」
そう口にしながらも、自分の将来に不安を感じ、打ち込むものがない自分に迷いを抱いてる何でも出来る菊池。
様々な人々の思いが交錯して、学校の屋上で衝突する。
「僕たちは、この世界で生きていかなくてはならないのだから」
前田の言葉は、誰でも心に感じ入るんじゃないだろうか。世界の広さは様々でも、それでも、人それぞれ生きる世界っていうのがある。どんなに小さな世界でも、高校生にとって、高校こそが世界のすべてなんだ。そこで生き残るために必死にならなきゃいけない。
俺も高校時代はそうだった。
そして、菊池と前田が対面する。ヒエラルキーの上にいる菊池と下にいる前田。小説でも描かれてる場面だけど、グッとくる。「格好良いね」っていう前田に対して、言葉に詰まる菊池。きっと、菊池にとっては、必死になれるものがある前田の方が格好良く映るんだろう。
主題歌が高橋優の『陽はまた昇る』。映画のラストでこの曲が掛かると、なんだかしみじみとした。
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